今回は、関係代名詞の制限用法と非制限用法についてご説明していきます。
まだ関係代名詞の基礎について学んでいない方は「関係代名詞とは?分かりやすく解説します」の記事を参考に勉強を進めてくださいね。
この2つの用法は一見するとほとんど形が同じであるため、区別できていない方が多いのではないかと思います。
しかし、形がほとんど同じでもニュアンスに違いがありますのでここでしっかり理解していきましょう。
まず、関係代名詞の制限用法とは関係代名詞が先行詞を形容詞的に修飾することです。
こちらの用法が所謂「関係代名詞」と読んでいるもので、日常会話や文章でも頻繁に使われます。
例文を見てみましょう。
I have two sons who are university students.
私には大学生の息子が2人います。
よく見る関係代名詞の文章なので、文章構造や訳は問題ないかと思います。
では、非制限用法とはどのような使い方でしょうか?
非制限用法とは先行詞に補足説明を加える使い方で、先行詞のあとにカンマをつけます。
例文で確認してみましょう。
I have two sons, who are university students.
私には息子が2人いて、彼らは大学生です。
非制限用法ではカンマが使われているので、制限用法との見分け方は問題ないかと思います。
では、訳についてはいかがでしょうか?
どちらも「大学生の息子が2人いる」というような訳ですが、ニュアンスに次のような違いがあります。
I have two sons who are university students.(制限用法)
大学生の息子2人以外にも息子がいるニュアンス。
I have two sons, who are university students.(非制限用法)
息子は大学生の息子2人しかいないニュアンス。
実はこのようなニュアンスの違いがあるんです。
息子の数に違いが出てくるため意味が異なってきますよね。
本日はこの非制限用法について詳しくみていきたいと思います。
制限用法と非制限用法の相違点
ここでは、制限用法と非制限用法の違いについて再度詳しく見ていきます。
相違点については大きく2つあります。
相違点1:文章構造
相違点2:ニュアンス
それでは、文章構造の違いから見ていきましょう。
相違点1:文章構造
冒頭でもご説明したとおり、制限用法とは先行詞を形容詞的に修飾する用法で、非制限用法とは先行詞に補足説明を加える用法です。
非制限用法の場合は先行詞のあとにカンマをつけます。
ここが文章構造の違いであり、見分けるポイントとなるためしっかり押さえましょう。
また、書き言葉などの文章の場合はカンマで見分けることができますが、話し言葉の場合は見分けることができません。
そのため、会話の場合、非制限用法では関係代名詞の前でポーズを置き聞き分けられるようにします。
制限用法の場合は関係代名詞の前でポーズは置かず、続けて話します。
それでは例文を見て、文章構造の違いを確認してみましょう。
I know his friends who are in the same class as him.(制限用法)
私は彼と同じクラスの友達を知っています。
I know his friends, who are in the same class as him.(非制限用法)
私は彼の友達を知っていて、彼らは彼と同じクラスです。
別の例文も確認してみましょう。
He has three kids who are girls.(制限用法)
彼には3人の女の子の子供がいます。
He has three kids, who are girls.(非制限用法)
彼には子供が3人いて、その子供は女の子です。
相違点2:ニュアンス
制限用法の先行詞は本来不特定の人やもので、関係代名詞の導く節に修飾されて特定されます。
一方、非制限用法の先行詞は特定の人やものであることが多く、関係代名詞の導く節は先行詞に補足的な説明を加えます。
先ほどの例文を用いて、ニュアンスの違いを見てみましょう。
I know his friends who are in the same class as him.(制限用法)
私は彼と同じクラスの友達を知っています。
「彼と同じクラスの友達以外にも彼の友達を知っている」というニュアンス。
I know his friends, who are in the same class as him.(非制限用法)
私は彼の友達を知っていて、彼らは彼と同じクラスです。
「彼の友達を全員知っていて、その友達は彼と同じクラス」というニュアンス。
別の例文のニュアンスも確認してみましょう。
He has three kids who are girls.(制限用法)
彼には3人の女の子の子供がいます。
「彼には3人の娘の他にも子供がいる」というニュアンス。
He has three kids, who are girls.(非制限用法)
彼には子供が3人いて、その子供は女の子です。
「子供は3人の娘のみ」というニュアンス。
非制限用法の使用パターン
次に、非制限用法が使われるパターンについて次の通りご説明していきます。
パターン1:先行詞が固有名詞の場合
パターン2:先行詞が1つしかないと考えられるものの場合
パターン3:先行詞が文脈上特定できる場合
パターン4:先行詞が同じ種類のもの全てを指している場合
それでは、1つ目から見ていきましょう。
パターン1:先行詞が固有名詞の場合
非制限用法は、先行詞が特定の人やものであることが多いため、先行詞が固有名詞の場合、非制限用法が使われます。
早速、例文を見てみましょう。
Mary, who is a teacher at an elementary school, wants to quit her job.
メアリーは小学校の先生だが、仕事を辞めたがっています。
Mr. John, who writes this book, is a doctor.
ジョン氏は、この本を書いたが、医者である。
パターン2:先行詞が1つしかないと考えられるもの場合
先行詞が1つしかないと考えられるものの場合も、非制限用法が使われます。
例文:
The earth, which moves around the sun, has sea and land.
地球は太陽の周りを回転しており、海と陸があります。
My mother, who is living with me, works part-time.
私の母親は、私と一緒に住んでおり、パートタイムで働いています。
パターン3:先行詞が文脈上特定できる場合
文脈の中で先行詞が何か特定できる場合も非制限用法が使われます。
例文:
I bought a book yesterday. The book, which is a novel, is very interesting.
私は昨日、本を買いました。その本は小説ですが、とても面白いです。
The cafe hired a new barista. The barista, who is a woman, is very good.
そのカフェは新しいバリスタを雇いました。そのバリスタは女性で、とても腕がいいです。
パターン4:先行詞が同じ種類のもの全てを指している場合
最後に先行詞が同じ種類のもの全てを指している場合も非制限用法が使われます。
例文で確認してみましょう。
The bicycles, which don’t work well, should be fixed.
自転車がどれもちゃんと動かないため修理すべきだ。
もう1つ見てみましょう。
The teachers, who teach well, are working hard.
先生たちは皆、教え方が上手く、一生懸命働いている。
ここまで、関係代名詞の制限用法と非制限用法についてご説明してきました。
関係代名詞の非制限用法はなかなか難しい文法ですが、制限用法と非制限用法はニュアンスが異なってくるため、意味を正確に取れるように理解しましょう。