ここでは倒置について解説をしていきます。
倒置とは主語や動詞がある語句を強調するために通常の語順(主語+動詞)から「動詞+主語」になることを言い、書き言葉でよく使用されます。
倒置は文章の語順が変わるため、倒置について理解していないと倒置の文章であることを見抜くことができなくなってしまいます。
しかし、しっかりと倒置のルールを理解して、ご自身でも文章を作ることができるようになれば、倒置の文章に出会っても意味を理解することができるようになりますので頑張って学習を進めていきましょう。
私も英語を本格的に勉強するまでは何となくでしか倒置について理解していなかったため、文章を読んだときにも意味を理解できませんでした。
しかし、何度も何度も例文を音読して使いこなせるになりました。
今では倒置の文章に出会っても一発で倒置だと見抜くことができ、文章もスラスラと読みこなすことができますのでみなさんもそのレベルを目指して勉強を進めていきましょう。
それでは解説に入っていきます。
倒置の基礎
まずは基本的な倒置について下記の通りご説明していきます。
- 基本の倒置1:補語を文頭に置く場合
- 基本の倒置2:目的語を文頭に置く場合
- 基本の倒置3:副詞を文頭に置く場合
それでは1つ目から見ていきましょう。
基本の倒置1:補語を文頭に置く場合
第2文型(主語+動詞+補語)の文で、補語を強調するために補語が文頭に置かれると倒置が起こり「補語+動詞+主語」の語順になります。
なお、倒置が起こるのは主語が名詞の場合のみで、主語が代名詞の場合には倒置は起こらず「補語+主語+動詞」となります。
例えば、以下のような場合は主語が代名詞のため倒置は起こりません。
Happy he is.
彼は楽しそうですね。
それでは、例文で確認してみましょう。
Lucky is Mary!
メアリーはラッキーですね!
もう1つ見てみましょう。
Faint grew the sound of the doorbell.
玄関の呼び鈴がかすかに鳴りました。
基本の倒置2:目的語を文頭に置く場合
否定語やそれに準ずるものが目的語になり文頭に置かれる場合、倒置が起こります。
倒置が起こる場合の語順は、「目的語+助動詞+主語+動詞」と疑問文の語順になります。
なお、基本的に、通常の目的語が文頭に置かれても倒置は起こりません。
例えば、次のような場合は目的語に否定語や否定語に準ずるものがきていないため、倒置が起こらないので留意しましょう。
That I can’t say to her.
私はそんなこと彼女に言えません。
それでは、倒置が起こるパターンを例文で確認してみましょう。
Not a single word did he say.
彼は一言も言わなかった。
もう1つ見てみましょう。
No man did I see there.
そこで私は誰も見ていませんよ。
基本の倒置3:副詞を文頭に置く場合
運動の方向や場所などを表す副詞が文頭に置かれる場合も倒置が起こります。
ただし、主語がheやsheなどの人称代名詞の場合は通常の語順(主語+動詞)のままとなります。
早速、例文で確認してみましょう。
Down came Japanese persimmon.
柿が落ちてきました。
もう1文見てみましょう。
On the mountain did I stand.
その山の頂上に私は立ちました。
否定語句を文頭に置いた倒置
次に否定語を文頭に置いた倒置について次のとおりご説明します。
- 否定語の倒置1:「〜するとすぐ・・・」の倒置
- 否定語の倒置2:副詞節の文頭に否定語がくる倒置
- 否定語の倒置3:その他の倒置
それでは1つ目の項目からご説明していきます。
否定語の倒置1:「〜するとすぐ・・・」の倒置
no sooner、hardly、scarcelyなどの否定語が文頭にくると倒置が起こります。
この倒置構文は主節に過去完了時制が使われ、「〜するとすぐ・・・」と訳します。
語順は下記のとおりです。
「〜するとすぐ・・・」の倒置構文の語順
hardly/ scarcely/ no sooner+助動詞+主語+動詞+when/ before/ than
1つ例文を見てみましょう。
Hardly had he come home before she turned off the TV.
彼が帰宅するとすぐ、彼女はテレビを消しました。
この文は直訳すると、「彼女がテレビを消す前にほとんど彼は家に帰っていませんでした。」になりますが、倒置構文として「〜するとすぐに」という訳になりますのでこのまま覚えましょう。
それでは例文で確認しましょう。
No sooner had I started than it began to rain.
出発した途端に雨が降り出しました。
Scarcelyを使った例文も見てみましょう。
Scarcely had I put the phone down when it rang again.
私が受話器を置いたとたんにまた電話が鳴りました。
否定語の倒置2:副詞節の文頭に否定語がくる倒置
主節と従属節で成り立つ文章で、従属節の前に否定語句を持ってくると、主節で倒置が起こります。
例えば、次の例文を見てみましょう。
Not until you lose your health will you realize its values.
健康を失ってはじめて、あなたはその価値が分かるでしょう。
このように、主節内は疑問文の語順で倒置が起こります。
なお、この文は直訳すると「あなたは健康を失うまで、あなたはその価値が分からないでしょう。」となります。
それでは、例文で確認してみましょう。
Only when it rains do I feel cool.
私は、雨が降ったときしか涼しいと感じません。
onlyも意味上は否定語に近いため、文頭にくると倒置が起こります。
Not until I lived by myself did I thank my parents.
ひとり暮らしをしてはじめて、私は親に感謝しました。
否定語の倒置3:その他の倒置
その他、次のような否定の意味を含む語句が文頭にくる場合も倒置が起こります。
・little
・in no circumstances
・in no other part of the world
早速、例文で確認してみましょう。
Little did I dream of such things.
そんなことは夢にも思いませんでした。
もう1つ見てみましょう。
In no circumstances should you get out of there.
いかなる事情があろうとあなたはそこから出るべきではありません。
ここまで倒置について解説してきました。
倒置は語順が変わるため、倒置の知識をしっかり頭に入れておかないと英語の文章を読んだり聞いたりしたときに、意味を理解することができなくなってしまいます。
内容も簡単ではないと思いますし、文章も長くなってくるのでなかなか勉強するのが大変かと思いますが、何度も音読をすれば必ず体に染み付いてきます。
また、ご自身で文章を作ることでも頭の中が整理されてスラスラ話せるようになりますので、頑張って勉強に取り組んでいきましょう。